千葉県の昭和な観光パンフレット

安房小湊奇蹟・名勝 妙の浦案内:昭和な観光パンフ

鯛千葉県の昭和な観光パンフレット
roeunyによるPixabayからの画像
スポンサーリンク
スポンサーリンク

安房小湊奇蹟・名勝 妙の浦案内:昭和な観光パンフ(昭和10-14年頃発行?)

妙の浦パンフ

妙の浦パンフ
妙の浦遊覧船事務所発行

妙の浦遊覧船事務所発行による古い時代のパンフレット。妙の浦(たへのうら)は小弁天島、大弁天島のある海岸線を指すが、それに因んで(ゴロを合わせて)安房小湊の内浦湾の漁港附近全体を”鯛の浦”と呼んでいるらしい。現在で言えば、鴨川市の鴨川シーワールドの東に位置する場所。この妙の浦は日蓮上人ご誕生の地。

また、又、後述する、妙の浦由緒に内務省と書かれているので、発行は少なくとも昭和22年までである事が分かる。また、外房線の当地の開通が昭和4年なので、戦時期や戦後まもなくはこの様なパンフを作ることもままならなかったのではないかと想像し、昭和10年-15年くらいの間に発行されたものではないだろうかと考える。

鯛は通常、深海に生息するが、不思議なことに水深10-20mの辺りに鯛が生息しているらしく、「神秘の鯛」と言われる。この為、この土地では鯛を”日蓮上人の化身”と信じられているらしい。

又、妙の浦では、先述したように”鯛”=”日蓮上人の化身”と考えられているため、鯛のお葬式もあったそうだ。昭和10年頃に始まり、昭和40年代にも行われたらしい。以下の案内には鯛のお葬式の説明もある。

鯛の浦遊覧船|日蓮聖人ご誕生の地(南房総・鴨川市)
千葉県特別天然記念物“神秘の鯛”と南房総・鴨川(安房小湊)の絶景をめぐる遊覧船。愛犬も無料で乗船OK。天然のマダイが群れで海面に現れる「鯛の浦タイ生息地」と、国定公園・小湊の景観(大弁天島・小弁天島、五色の砂浜など)を含む海の観光名所をぐるりと周遊します。

小湊名勝略図

小湊名勝略図

小湊名勝略図
妙の浦パンフ
妙の浦遊覧船事務所発行

これはパンフ内の案内図。妙の浦の右に蓮華フチとあるが、これが蓮華ヶ淵の事で、弁天島、大弁天島の辺り一帯を指す。さらに東に行くと”おせんころがし”がある。おせんころがしは約4Kmに渡る海岸沿いの崖で、以前は難所だった。1929(昭和4年)にこのおせんころがしに外房線が開通した事から、難所とは言われなくなったので、この絵葉書は少なくとも昭和4年以降であると思われる。

このおせんころがしの山側にはかつて行川アイランドが存在したが、2001年に閉園してしまった。一度フラミンゴショーを見に行けば良かったなあ・・・私は行っていない。

おせんころがし - Wikipedia

小湊へのアクセスの列車時刻表と遊覧船乗船料金

遊覧船乗船料金

遊覧船乗船料金
妙の浦パンフ
妙の浦遊覧船事務所発行

これは両国発(勝浦経由)小湊着と小湊発(勝浦経由)両国着の列車の時刻表、季節列車の時刻などが書かれている。遊覧船の料金は夏料金が安く冬料金が高い。夏料金として一人25銭で団体料金で安くなるように書かれているが、これは昭和10年代の料金ではないだろうか?どなたかこの料金からいつの時代であるか正確に分かる方はいないだろうか?

妙の浦由緒

妙の浦由緒

妙の浦由緒
妙の浦パンフ
妙の浦遊覧船事務所発行

妙の浦由緒

今から七百余年前貞応元年二月十六日日蓮聖人は此の小湊の地で誕生遊ばされました聖人の誕生に就いては三つの奇跡が現れたと伝へられて居ります。即ち誕生泉と蓮華澤と妙の浦であります。

聖人誕生の際海岸に清き泉が湧き時ならざるに蓮華が咲き無数の鯛が群集し跳躍して恰も其降誕を祝福するかの如く不思議に感じさせたのであります。爾来漁民は此の区域に於て鯛漁業をなさざるのみならず鯛の棲息せる場所は明神島の附近なるが故に鯛を呼ぶに明神様と請ひ保護し来つたのであります。

而して数百年の間年を経ると共に遠近の人々此の奇蹟を聞き伝へ次第に観覧者増加しこんにちに及んだのであります。明治の御代に至り県令を以て禁漁区として保護を加へ又内務省令を以て史蹟名勝天然記念物として管理を命ぜられ今や天下の名勝地として喧伝せらるると共に日蓮聖人の威徳も又顕揚せらるるのであります。

妙の浦三詠

妙の浦三詠

妙の浦三詠
妙の浦パンフ
妙の浦遊覧船事務所発行

妙の浦三詠

時なれや妙の浦わに咲く花の日の本匂ふ法の一輪
加藤清正

月影の一入清き妙の浦磯辺伝へに千鳥鳴くなり
豊臣秀吉

小湊の妙の浦風波もなく潮満ち渡る法の源
水戸光圀

加藤清正の和歌:小湊誕生寺の解説によれば、慶長年間のはじめ頃(1596~)加藤清正が誕生寺に参詣した折に朝鮮国王子臨海君の子息へ賜った和歌との事です。

誕生寺

誕生寺

誕生寺
妙の浦パンフ
妙の浦遊覧船事務所発行

誕生寺(始めは高光山日蓮誕生寺と唱へ後小湊山と称す)日蓮聖人御誕生の霊地にして建治二年御弟子日家上人の草創する所始めは蓮華沢にあり海瀟のため現地に移る。山内に誕生水、龍王殿等あり其他宝物多数あり誕生寺より三丁程町の中へ

妙蓮寺(妙日山と号す)日蓮聖人御両親御廟所にして実に聖人九ケ年身延山より御遥拝の本地終生思親望郷大孝中心の霊跡なり又母公蘇生の道場感応堂あり、広布梅、蘇生の桜今尚古を偲ばしむ。妙蓮寺より六丁。

岩高山日蓮寺と呼ぶ文永元年十一月十一日小松原御法難の折一時御身を忍ばせ疵を療養なされし霊跡にして岩窟あり又麓に疵洗の井戸と称するあり。駅より二丁余

高生寺光瑞山と呼び俗に見返りの祖師と称す建長五年の春開宗の為め清澄へ赴かせ給ふ途中立正に対する世の迫害を思うに付けても恩愛の情禁ずる能はずふと我家を見返らせ給ひし霊跡なり寺内に朝日の聖人尊像あり

海嘯とは津波の様に波が押し寄せる事だが、明応7年(1498)、元禄16年(1703)の2度の大地震、大津波の天災を指しているようだ。

上記の寺の位置関係を現したものが下図です。

広範囲にご覧になりたい場合はフルスクリーン表示をクリックして下さい。

スポンサーリンク

最後に

このパンフは15年以上前に購入したものだった。2020年から続くコロナ禍で観光関連業の方々も相当困っていると察する。そんな状況なので、この古パンフレットを投稿し、コロナ明けに訪問できることを願いたい。

コメント

タイトルとURLをコピーしました